2015年5月29日金曜日

食の本

「食」をテーマにオススメ本を集めました。この選書をしたのは、今から二年半ほど前。その時の気分が現れていて、懐かしい。


高峰秀子『台所のオーケストラ』
独特の調子が心地よい。この文章読むと、著者と一緒にいると楽しいだろうなって思える。そして、この人は優れた味覚だけでなく、まっとうな経済感覚と生活感覚とユーモアを持っていることがわかる。
台所のオーケストラ (新潮文庫)
高峰 秀子
新潮社 (2012-06-27)
売り上げランキング: 63,182

西加奈子『ごはんぐるり』
直木賞作家の食エッセイ。食について語ると人柄が出ちゃうよなあと、しみじみ感じる。高峰秀子『台所のオーケストラ』を読んだ時と同じ、幸せな気持ちになった。
ごはんぐるり
ごはんぐるり
posted with amazlet at 15.05.29
西 加奈子
NHK出版
売り上げランキング: 236,951

沢村貞子『私の台所』
女優さんの食エッセイ。自分自身を含めて、人間を観察する目がとてもするどく、まともだ。
わたしの台所 (光文社文庫)
沢村 貞子
光文社
売り上げランキング: 42,986

平野レミ『笑ってお料理』
楽しくおいしいものを作って食べれば、元気も出て幸せにもなれるという、真っ当なことが楽しいエピソードともに書かれた本。愛情があふれて、読むと嬉しくなります。
笑ってお料理 (ちくまプリマー新書)
平野 レミ
筑摩書房
売り上げランキング: 240,967

プルタルコス『食卓歓談集』
古代ギリシャの宴会に出て、おじさんたちの与太話を聴いてみよう。「宴会の幹事はどういう人物であるべきか」「山より海の方が珍味が多いか」「『恋は人を詩人にする』とはどういうことか」なんてどーでもいい話題が暑苦しく語られる。それが意外と人生の勉強になるのだ。
食卓歓談集 (岩波文庫)
プルタルコス
岩波書店
売り上げランキング: 333,108

プラトン『響宴』
古代ギリシャの宴会に出てみようシリーズ2。愛(エロース)についての熱い語りに耳を傾ける。
饗宴 (岩波文庫)
饗宴 (岩波文庫)
posted with amazlet at 15.05.29
プラトン
岩波書店
売り上げランキング: 14,447

西原理恵子、吾妻ひでお『実録!あるこーる白書』
元アルコール依存症の吾妻ひでおと、依存症の夫に悩まされた西原理恵子。二人の漫画家が自身の経験を語る本。アルコール依存症の実録であるのみならず、表現者の生き様の実録になっている点が素晴らしい。
実録! あるこーる白書
実録! あるこーる白書
posted with amazlet at 15.05.29
西原理恵子 吾妻ひでお
徳間書店
売り上げランキング: 17,343

内澤旬子『世界屠畜紀行』
「動物が肉になるまでの過程が知りたい」、そして「食肉や皮革にかかわる仕事をする人に対して、どうして日本では差別があるんだろう?」という問いから出発して、世界各地の屠畜の実情をルポした著作。世界は広い、文化も多様だって思える一冊。
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)
内澤 旬子
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 148,160

内澤旬子『飼い喰い:三匹の豚とわたし』
「自分で豚を飼って、つぶして、食べてみたい」という欲望を実現する過程をつぶさに描いた、著者自身の体験ルポ。「夢も秀も伸も [豚の名前] 、殺して肉にして、それでこの世からいなくなったのではない。私のところに戻って来てくれた。今、三頭は私の中にちゃんといる。これからもずっと一緒だ。たとえ肉が消化されて排便しようが、私が死ぬまで私の中にずっと一緒にいてくれる。」(本書277頁)
飼い喰い――三匹の豚とわたし
内澤 旬子
岩波書店
売り上げランキング: 208,505

ハロルド・ハーツォグ著;山形浩生他訳『ぼくらはそれでも肉を食う:人と動物の奇妙な関係』
人は動物をペットとして愛玩の対象にする一方で、その肉を食ったりもする。この「人と動物の奇妙な関係」を考察した本。ペットの問題に興味のある人、食肉の話に興味のある人、どちらにもおすすめ。
ぼくらはそれでも肉を食う―人と動物の奇妙な関係
ハロルド ハーツォグ
柏書房
売り上げランキング: 286,646

ピーター・シンガー『動物の解放』
動物解放論の古典。理論的に考えたい人はこちらをどうぞ。
動物の解放 改訂版
動物の解放 改訂版
posted with amazlet at 15.05.29
ピーター シンガー
人文書院
売り上げランキング: 118,275

伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』
動物とのつきあい方を倫理学的に考えてみる本。
動物からの倫理学入門
伊勢田哲治
名古屋大学出版会
売り上げランキング: 21,520

本橋成一『うちは精肉店』
牛がお肉になる様子を記録した写真絵本。ベルトコンベアの作業ではなく、人間の手作業で動物が肉になる。生きてた牛がお肉になるってこうなんだ。文字で知るのとは違った気持ちになる。
うちは精肉店
うちは精肉店
posted with amazlet at 15.05.29
本橋成一
農山漁村文化協会
売り上げランキング: 49,344

武田尚子『チョコレートの世界史:近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』
チョコレート好きは必読?ヨーロッパでチョコレートがどのように受容され、今のように普及していったのか、その歴史を辿った本。宗教、医学、産業労働と様々な切り口からチョコレートと人々の生活が切り取られる。視野が広がる一冊。

藤原辰史『ナチスのキッチン:「食べること」の環境史』
1900年代初頭から戦後まで、ドイツの食と食空間の変遷を辿った歴史書。「食べる」という人間の必然の営みが、どれほど環境の影響を受けうるか、そしてその環境はどれほど操作されうるかを示している。「食べる」ことと「思想」、そして「政治」は結びついていることが実感できる一冊。
ナチスのキッチン
ナチスのキッチン
posted with amazlet at 15.05.29
藤原 辰史
水声社
売り上げランキング: 418,792

黒岩比佐子『歴史のかげにグルメあり』
西洋と出会った近代日本人の、食をめぐるエピソード集。取り上げられるのは、明治天皇、伊藤博文、西園寺公望など蒼々たるメンツ、そして東京経済大学の前身大蔵商学校創立者大倉喜八郎。彼がどう描かれているかは読んでみてください。
歴史のかげにグルメあり (文春新書)
黒岩 比佐子
文藝春秋
売り上げランキング: 296,921

中西準子『食のリスク学:氾濫する「安全・安心」をよみとく視点』
安全な食べものってなんだ? それを判断するためには、(めんどくさいけど!?) 知識を得る努力をしなければならないってこと。
食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点
中西 準子
日本評論社
売り上げランキング: 251,013

松永和紀『メディア・バイアス:あやしい健康情報とニセ科学』
賢く食べるために、メディアとのつきあい方も学んでおこう。
メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
松永 和紀
光文社
売り上げランキング: 21,580

2015年5月18日月曜日

大学での勉強ハウツー本

大学での勉強にもハウツーがあります。大学が何をする場所なのかを早めに知ることが、実り多き四年間への近道です。

まずはこの本を読みましょう。
筒井美紀『大学選びより100倍大切なこと』
大学で学ぶ心構えや態度、さらにはノート取り方など具体的な勉強テクニックまで書かれた、非常に実践的な大学入門。「わかんない」「つまんない」と言って過ごすにはあまりに長い四年間。ちょっとしたヒントで過ごし方は変えられる。まずは本書を読んで、頭を受験生モードから大学生モードに切り替えよう!

大学選びより一〇〇倍大切なこと
筒井 美紀
ジャパンマシニスト社
売り上げランキング: 61,879


以下では「話す」「書く」「考える」という三つのテーマごとに、大学での勉強に役立つハウツー本をご紹介。

【話す】

福田健『【図解】聞く力 話す力がたちまち身につく40の技術』
コミュニケーションにおける「聞く力」の重要性を解説し、その力を伸ばすにはどうすればよいかを実践的に示す本。話すのが苦手な人は、まずは聞く態度を変えることを意識してみよう。

【図解】聞く力 話す力がたちまち身につく40の技術
福田 健
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 225,450


山本昭生『論理的に話す技術 相手にわかりやすく説明するための極意』
タイトルどおり「論理的に話す技術 相手にわかりやすく説明するための極意」がぎゅっと詰まった一冊。授業内でのプレゼンから就活の面接まで応用できます。

論理的に話す技術 相手にわかりやすく説明するための極意 (サイエンス・アイ新書)
山本 昭生
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 20,687


下地寛也『コクヨの1分間プレゼンテーション』
企業研修で教えられているノウハウをまとめた本。授業内でのプレゼンから就活の面接まで応用できる、基本がつまっています。

コクヨの1分間プレゼンテーション
下地 寛也
中経出版
売り上げランキング: 175,957

向後千春『自己表現力の教室』
「話し方」と「書き方」の基本を学ぶための教科書。訓練すれば、自分を上手に伝えられます。

自己表現力の教室
自己表現力の教室
posted with amazlet at 15.05.05
荒木 晶子 筒井 洋一 向後 千春
情報センター出版局
売り上げランキング: 71,977

【書く】

向後千春『200字の法則 伝わる文章を書く技術』
文章には、目的と型があることをわかりやすく示した本。型にあてはめれば、誰でも目的にあった文章を書けるようになります。

200字の法則 伝わる文章を書く技術
向後 千春
永岡書店
売り上げランキング: 86,284


戸田山和久他『はじめよう、ロジカルライティング』
論理的な文章を書くための教科書。論理的ってどういうこと?という基本的なところから丁寧に説明してくれます。読むだけでなく、練習問題を自分でやってみることが大事。一冊やりとおせば、論理的な文章が書けるようになるだけでなく、他人の文章のおかしな部分を指摘する突っ込み力(批判力)も身に付きます。

はじめよう、ロジカル・ライティング
名古屋大学教育学部附属中学校・高等学校国語科
ひつじ書房
売り上げランキング: 130,194


戸田山和久『新版 論文の教室―レポートから卒論まで』
レポート課題が出たら、これを読みましょう。レポートとは何かを知らねば、レポートを書けるはずがない。レポートとは何か予備知識を仕入れてから取り組むべし。

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
戸田山 和久
NHK出版
売り上げランキング: 687


【考える】

福澤一吉『議論のレッスン』
論理的に思考し、語る方法を勉強するための入門書。

議論のレッスン (生活人新書)
福澤 一吉
日本放送出版協会
売り上げランキング: 84,645


野矢茂樹『新版 論理トレーニング』
論理的思考についての最良の教科書。紙と鉛筆を持って、練習問題を解きつつ進みましょう。難しい時もある(私も間違います)。だけど、手を動かして考えることで、視点の取り方がじわじわわかる。最後の二章は、質問の仕方、論文の書き方のコンパクトな解説になっている。

新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)
野矢 茂樹
産業図書
売り上げランキング: 6,288


戸田山和久『「科学的思考」のレッスン―学校で教えてくれないサイエンス』
「科学的」に考えるとはどういうことかを学ぶ本であり、優れた科学哲学入門でもある。



2015年5月13日水曜日

フランスでスマホを買う。

いろんな人から携帯早く持って、と急かされ。

何を使おうかと迷った末、Free の月2ユーロコースを選択しました。
- 通話2時間無料(フランス国内は固定携帯問わず。その他多数の国の固定にもかけられる。)
- SMSとMMS無料
- 街中のwifi無料
- Internet 3G + 4G : 50 Moまで無料
- 契約しばりなし
2ユーロで以上がパッケージされているもの。格安ですよ。

中心部にあるFreeのお店まで携帯を買いに行ったら、「ここには在庫はない。全部ネットでやれ」と言われ、手続きはすべてネットで行いました。登録に必要な情報は
- 名前や住所(住所証明は必要ないが、すべて郵送で行われるため、受け取れる住所が必要。)
- 銀行口座情報
意外と大したことを問われない。銀行口座情報は先方で照会できる模様。口座開設直後にFreeで手続きをしようとしたら、まだ口座情報が登録されていないからダメとはじかれた。

ネットでプランと機種を選択し手続きをして5日ほどで、本体とSIMカードが郵送されてきたので、SIMカードを挿入ののち、ネットでアクティヴェーション。すぐに使えるようになりました。

本体は、ALACATELという中国の会社の格安(59ユーロ)のものをFreeサイト上で購入した。電気屋さんとかに行けばもっと選択肢も多く、安かったのかもしれないけれど、携帯にそんなに興味がないので、適当に安い物を選んだ。相場としは、iphone4が120ユーロ、iphone5が250ユーロくらい。購入した携帯本体は、手触りも操作感もチープなのは否めないけれど、普通に使えます。

データ通信は切って、通話とSMSのやり取りだけできるように設定。これで不自由しなさそうです。電話し放題、データ通信し放題のプランでも20ユーロほどなので、日本で毎月7000円くらい携帯に払っていたのがばからしく思えてしまう。。

2015年5月7日木曜日

Kindle 素晴らしい。その2

先日、古典がただで読み放題でKindle素晴らしいという趣旨の記事を書きました。実際に、本を読み進める中で、もう一つKindleの素晴らしさに気づきました。

私が最近読んでいるのは、100年くらい前の日本語の本。読めはするのですが、ときどき読み方がわからない単語や知らない単語が出てきます。そんな時、KindlePaperwhiteなら、指で単語を選択するだけで、辞書を表示することができるのです。

Kindle Paperwhite Wi-Fi、キャンペーン情報つきモデル
Amazon (2014-10-04)
売り上げランキング: 17

いちいち紙の辞書をめくる、あるいは電子辞書を取り出して調べるとなるとめんどくさくて、わからない単語もさらっと流してしまいがちなのですが(よくないのは知っている...)、その場で一動作で辞書が引けちゃうなら引きますよね。

語彙不足で本を読むのが苦手な人ほど、Kindle読書はオススメだと思いました。

2015年5月4日月曜日

Kindle 素晴らしい。

フランスでの在外研究。フランス語の資料を読んで研究を進める!のが主たる目的ですが、日本では忙しくてゆっくり読む時間が取れなかったテキストを読みたい!とも思っていました。具体的には、明治・大正・昭和初期の小説や評論などをじっくり読みたかった。

そこで、活躍しているのがkindle。私が読みたかったテキストが大量に無料でダウンロードできるので、早速いろいろ読んでいます。以前書いたとおり、日本の自宅、研究室の蔵書も電子書籍化中なので、本は基本的にすべてkindleかiPadかMacBookProで読むことになりました。使い分けは試行錯誤中。

Kindle Paperwhite Wi-Fi
Kindle Paperwhite Wi-Fi
posted with amazlet at 15.04.30
Amazon (2013-10-22)
売り上げランキング: 30

使っている端末は、kindle paperwhite。付箋、ハイライト、メモと、紙の本を読む時にやっていたことはできるので、不自由しません。最初はkindleでのページめくり(?)に違和感を持ちましたが、一週間もすれば慣れました。

日本に戻っても、通勤電車読書はkindleにすると思います。すでに読み切れないほどの古典が無料で手に入る状況。「本を買うお金がない」は、読書しない言い訳にはならないなあと思うのでした。
例えばこんなのを読んでます。傾向はわかっていただけるかと。

それから
それから
posted with amazlet at 15.05.03
(2012-09-27)

厭世詩家と女性
厭世詩家と女性
posted with amazlet at 15.05.03
(2012-10-04)

神秘的半獣主義
神秘的半獣主義
posted with amazlet at 15.05.03
(2012-10-01)

*関連リンク
フランスで在外研究2—本をどうするか—

2015年5月2日土曜日

中公新書の世界史

中公新書が好き。中でも世界史がらみのコレクションが好き。というわけで、オススメを10冊メモ。
*以前某twitterに投稿した記事をまとめました。

まずは、定番「世界史」シリーズのおすすめを二冊。

山田篤美『真珠の世界史』
日本史、世界史、経済史、服飾史...様々な分野に目配りが行き届いて素晴らしい一冊。シャネルのリトル・ブラック・ドレスと真珠コーディが一斉を風靡し、ディオールのニュールックと真珠コーディが戦後のファッション界に衝撃を与え、そして60年代のミニスカートの流行によって真珠が廃れていく。。真珠は世につれ、モードにつれです。

真珠の世界史 - 富と野望の五千年 (中公新書)
山田 篤美
中央公論新社
売り上げランキング: 36,123

武田尚子『チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』
チョコレート好きは必読?近代ヨーロッパ史、植民地史の勉強になります。チョコレートの普及と、宗教および身体観の関連を述べるくだりが特に面白い。

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)
武田 尚子
中央公論新社
売り上げランキング: 31,232

次は、フランス革命関係の本を二冊。
安達正勝『マリー・アントワネット』
マリー・アントワネットの物語風伝記。すごく読みやすい! 王の首を落とすなんて想像もしていなかった人々が、なぜ王と王妃を殺すに至ったのか、王側の視点から書かれていて面白い。

マリー・アントワネット フランス革命と対決した王妃 (中公新書)
安達 正勝
中央公論新社
売り上げランキング: 31,017


安達正勝『物語 フランス革命』
こちらもフランス革命入門としておすすめ。タイトル通り物語風に革命の推移が書かれているので、ややこしい革命の展開が頭に入ってきやすい。

物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)
中央公論新社 (2014-07-11)
売り上げランキング: 9,252

次は、キリスト教つながり(!?)な二冊。

佐藤彰一『禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源』
西洋古代の禁欲の心性と実践をたどった本。あわせてミシェル・フーコーの晩年の著作なども読むとよいと思いました。参考文献もしっかりしていて、大変充実した一冊。この内容を新書で出すところが中公新書クオリティ。

禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源 (中公新書)
佐藤 彰一
中央公論新社
売り上げランキング: 20,305


浅見雅一、安廷苑『韓国とキリスト教』
全人口の三割がキリスト教徒だという韓国。なぜキリスト教が「国家的宗教」になりえたかを、歴史的、文化的に示す本。大変面白く読んだ。同じく韓国のキリスト教をテーマにした傑作映画「シークレット・サンシャイン」(イ・チャンドン監督)を、この本とあわせて鑑賞するのがおすすめ!

韓国とキリスト教 (中公新書)
浅見 雅一
中央公論新社
売り上げランキング: 272,219
シークレット・サンシャイン [DVD]
エスピーオー (2009-01-01)
売り上げランキング: 34,957

次は、アメリカ現代史に関する本を二冊。

上杉忍『アメリカ黒人の歴史 - 奴隷貿易からオバマ大統領まで』
ニュースで黒人差別という言葉を見聞きすることはあっても、具体的にはピンとこなかった私。この本を通して、差別が、政治、駆け引き、人々の「素朴」な意識のなかで生成、滞留し続けた歴史を知ることができた。

アメリカ黒人の歴史 - 奴隷貿易からオバマ大統領まで (中公新書)
上杉 忍
中央公論新社
売り上げランキング: 43,197


鈴木透『性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶』
アメリカの歴史、文化の有り様を解説してくれる一冊。「なんで妊娠中絶が大きな政治問題になるの?」「なんで市民が銃を持っていいわけ?」なんていうアメリカに対する素朴な疑問に答えてくれる。

性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書)
鈴木 透
中央公論新社
売り上げランキング: 470,939

最後は、ヨーロッパ現代史に関する二冊。

板橋拓己『アデナウアー 現代ドイツを創った政治家』
現代史の本もいろいろあります。こちらは、フランスを知るためにはドイツを知る必要がある、という動機で読んだ本。世界史の教科書で読んだ無味乾燥な記述が埋められていく感じ。世界史嫌いにこそおすすめかも。

アデナウアー - 現代ドイツを創った政治家 (中公新書)
板橋 拓己
中央公論新社
売り上げランキング: 145,572


芝健介『ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』
大量虐殺はどのように起こったのか、なんでそんなことになったのか、歴史記述を積み重ねて初心者に解説してくれる本。終章「ホロコーストと歴史学」は歴史哲学の入門にもなると思いました。

ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌 (中公新書)
芝 健介
中央公論新社
売り上げランキング: 38,962

以上、全10冊、中公新書の世界史というテーマでおすすめ本を紹介しました。私の専門が西洋の思想なので、西洋史が多くなってしまったのはご容赦ください。私、中公新書が好きだ!

関連記事:中公新書の日本史